3-1.源氏物語

源氏物語ゆかりの地に近いところに住んでいることもあり、半年ほど前から源氏物語に惹かれている。

林望さんの訳で読んでいるのだが、全10巻のうちの1巻をつい最近読み終えた。

面白いという表現は適切でないような気がするけど、「どういうこと!?」となったり、「わかるよ😏」という気持ちになれるような情景の表現や感情表現が多いので読んでいて楽しい。

ひとつ興味深かったことを挙げてみる。

帝が恋愛の相手を自由に選べないのおかしくない?ということ。桐壺帝の部分を読んでいて、右大臣左大臣など宮中の人たちの意向が結構反映されているように感じた。もっというと宮中の女性たちやりたい放題すぎない?と思った。桐壺の更衣が帝に気に入られているかといって、いくらなんでも嫌がらせしすぎだし、帝が守ってあげて欲しかった。自分が思っていたよりも帝だけの権力が強いわけではなく、思っていたよりも女性の力も強かったということなのかな。

まあ小説ですからといえばそれまでだけど。

それと洋書でも感じたことだけど、役者のすばらしさを強く感じる。昔の言葉使いや敬語の使い方など古語らしさを残しつつ、現代の人にも読みやすい文体になっている。しかも読みやすいだけでなく、豊かな表現も損なっていない(損なっていなさそう)なところが本当にすばらしいと感じている。

10巻全て読み終えるのはいつになるんだろうか。「光る君へ」も追いながら源氏物語の世界を最大限楽しみたい。

2-1ウィルキー・コリンズ「月長石」

2023年10月

ミステリーの歴史を調べてみると、1868年に書かれたこの「月長石」が、最初にして最長の長編ミステリーと言われているらしい。正確には1866年に書かれたガボリオの「ルルージュ事件」が世界初の長編ミステリーらしいが、この月長石も初期の長編ミステリであることに間違いはない。

以下感想

全体として語り手含め登場人物がみな、思い込みが激しく日和見だったり感情的すぎたりすると感じた。それが人間らしいといえば確かにそうだなと思いつつ、もうちょっと冷静に考えたら?とか理性で考えたら?とも思った。

宗教に関して信仰心が強すぎる人がいて、ある意味面白かった。かなり誇張はしているとは思うが、宗教に縁のない自分にとって信仰の強い人の思考はこういうものなのかと新鮮に感じた。実世界と結びつけて考えてみると、自分の信じているものと関連付けて考えたり、納得したり、思い込んだりするのはなにも、宗教に限らないのではと思った。例えば、偉い人が言っていたからとか、権威が言っていたということでそれを盲信したり人に考えを押し付けるのはよくあることだと思う。良し悪しではないが、自分の頭で考える人と他者の思想に頼る人とでは根本的に違う人種だなという感想を持った。

肝心のミステリ要素は特別良いとも悪いとも思わなかった。トリックというか解決パートは、なるほどという感じ。完璧にロジカルに犯罪が行われてほしいわけではないが、やはり偶然の出来事に便乗したみたいなことになると、そんなに感激はしないのかな。実際には偶然が介在した犯罪も十分あり得るから自然なことだと思うんだけど、自分の中でどう考えるべきか答えを持っていないのが正直なところ。

ともあれ、これだけ長い小説で昔の小説なのに読みづらさをあまり感じなかったので、作者と翻訳者が優れていると感じた。

 

1-2.「モルグ街の殺人」を読んで

モルグ街の殺人を読みました。

率直に言うと、そんなオチかよと思いました。というのも、犯人が人間ではないというのはまだ納得できるのですが、事件の真相に何らかの意志が入っていないことにモヤモヤするからです。殺人が発生して探偵が出てくるからには、誰かが真犯人であることを隠したいという意図が入るのが自然だと感じるからですかね。そうはいっても全くの偶然だったという作品もあると思うので、好みの問題というか自分の先入観が多いに影響しているような気がします。いくつかの作品紹介に結論には賛否があるということが書いてあったのでそれも納得です。

結論に賛否はあるものの、推理小説の基礎を築いたのは間違いなく偉大な功績ですね。探偵役と相棒のコンビ、意外な犯人など推理小説の基本型がこの作品に詰まっていることは本当に驚くべきこと。

読んでいて浮かんだ疑問として、なぜデュパンは警察に対して嫌味を言うのかということ。確かにデュパンのように極めて論理的に事件を解決する探偵からすれば、視野が狭く事件を解決できない警察を揶揄するのも理解できる。しかしなぜポーはデュパンにその役目を負わせたのだろうか?

一つの仮説としては当時の警察の不甲斐なさを風刺する意図があったとが考えられる。が、この作品が書かれた1841年のアメリカのことを調べてもよくわからなかった。他の作品を読んでいくうちにこの仮説を検証していきたい。

1-1.「モルグ街の殺人」(ポー)を読むことにした

推理小説はネタ切れになっているんだろうか?という疑問を解消するため、まずは推理小説の元祖といわれる本を読むことにしました。

疑問を解消するだけならもっと効率の良い方法はありますが、最大限楽しみたいので一旦は歴史を遡って読みたいと思っています。

とはいえどれだけ細かく歴史を追うかは問題ですし最新作を読みたくもなると思うので、気分が変わったら方法を変える予定です。

というわけで次回から「モルグ街の殺人」を読んで感想とか、トリック、良いと思ったところなど書いていこうと思います。

はじめに

昔は推理小説をよく読んでいたのですが、最近はめっきり本を読まなくなっていました。

しかし最近趣味がないなと思ったことをきっかけに、読書の時間を確保することにしました。推理のトリックはネタ切れにならないのかな?という疑問から、推理小説を読んでいくことにしました。多分その疑問に対する答えっていうのは調べれば出てくるだろうけど、趣味なので自分で考えたいなって思います。